子ども虐待の基本理解
1.子ども虐待の定義とその特徴
【1】身体的虐待
【特徴】再発率と死亡率が高い。
初めは軽微な怪我や傷でも、時間の経過に伴い行為がエスカレートしていく危険性
が高いため、発見時点の安全及び継続的に安全を確保することが重要。
■子どもの身体に外傷が生じ、または、生じるおそれのある暴行を加えること。
① 外見的に明らかな傷害を生じさせること。
打撲傷・あざ(内出血)・骨折・頭部外傷・煙草による火傷など。
② 生命に危険のある暴行。
首を絞める。殴る。蹴る。投げ落とす。激しく揺さぶる。熱湯を掛ける。布団蒸しにす
る。溺れさせる。逆さ吊りにする。異物を飲ませる。食事を与えない。冬戸外に締め出
す。鎖や縄などにより一室に拘束する。
③ 意図的に子どもを病気にさせること。
【2】性的虐待
【特徴】周囲から気づかれずに潜在化し被害が繰り返され、エスカレートしてく傾向が
ある。また、子どもの告白により発見されることが多く思春期年齢で深刻な精神症
状や問題行動もあり対応がより困難になる。
■子どもにわいせつな行為をする。子どもにわいせつな行為をさせる。
① 性交、性的暴行、性的行為の強要・教唆など。
② 性器や性交を見せること。
③ ポルノグラフィーの被写体とすること。
【3】ネグレクト
【特徴】親の子どもに対する関心や困り感などが少ない。そのため介入は地域の関係機関
と息の長い支援を必要とする。他の虐待と重複していることが多い、特に乳幼児期
においては生命の危機に瀕する事態が多い。
■子どもの心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置、その他の
保護者としての監護を著しく怠ること。
① 子どもの健康・安全への配慮を怠っているなど、
例えば、家に閉じこめる登校禁止(子どもの意思に反して登校を禁止する)。
病気になっても病院に連れて行かない、乳幼児を家に残したまま度々外出する。
乳幼児を車の中に放置するなど。
② 子どもに必要な情緒的要求に応えていない(愛情遮断など)
③ 食事・衣服・住居などが極端に不適切で健康状態を損なうほどの無関心・怠慢など。
例えば、適切な食事を与えない。下着などを長期間不潔・不衛生にする。
不潔な環境で生活をさせるなど
④ 子どもを遺棄すること。
⑤ 同居人による子ども虐待と同様の行為に対して、保護者(同居人)が適切に対応
しないこと。
【4】 心理的虐待
【特徴】ネグレクトと同様に他の虐待と重複していることが多い。心的虐待が単独で
見られる場合には、虐待に対する認知が低く改善され難い、そのため支援が困難
である。
■子どもに著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
① 言葉による脅かし、脅迫をすること。
② 子ども無視したり、拒否的な態度を示すことなど。
③ 子どもの心や自尊心を傷つける言動を繰り返したり、他のきょうだいとは著しく差別的
な扱いをすること。
④ 子どもの目の前でDVを行うこと。
※DVとは、ドメスティクバイオレンス。主に配偶者からの身体に対する暴力、心身に悪影響を及ぼす言葉による暴力のこと(配偶者暴力)。
2.子どもに与える影響
■ 自己評価や自信こそが、生きていく為の大切なエネルギーなのに、虐待が行われる事に
よって自尊心が傷つき、自己評価が低くなり自信を失ってしまう。
子どもの人生は、その後の人生にも大きな影響を与える。
■ 虐待を受けた子どもは、発育不全・発達の不全や歪み、非行など性格行動上の問題行
動、愛着障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、子どもの心身に様々な影響
を残し重篤な症状・傷害をもたらす。
【1】 身体的虐待
① 虐待者から「おまえが悪いんだ」「何回言ったら分かるんだ」と暴行を繰り返される
と、子どもは自尊心を低くし、虐待者の暴行を回避するために、大人の顔色をみたり、
大人の意図や要求を認知して行動する「大人びた」「子どもらしくない」態度(偽成熟
傾向)をとる場合がある。
② 集団においては、自分より強いと思う人の前ではおとなしく従順である、
その一方、自分よりも弱いと思う人に対しては必要以上に支配的になるなど、上下関係
に敏感な場合がある。
③ 乳幼児期には、頭蓋内出血や骨折、窒息、火傷、栄養障害など、時には死に至る場合
や重篤な傷害を引き起こす場合がある。
【2】 性的虐待
① 性的行動化が認められ場合がある。性的な言葉や自慰、他者の性器を触れるなど。
② 他者との距離の取り方に様々な問題を持つ。こちらから近づくと警戒心や不安を示す。
③ 思春期年齢になると、女の子は「自分が汚い」という感情、男の子は「自分が異常」
という自己嫌悪感を持つ。自暴自棄な言動(家出・万引き・援助交際などの非行や
リストカットなどの逃避逸脱行動)につながる。
④ 家庭内の密室性と近親者による苦痛な行為は「どうにもならないんだ」「私が我慢を
すれば家族はなんとかなるんだ」との無力感を生み、現実から逃避しようとするための
解離性症状見せることもある。
⑤ 身体的な影響には、妊娠、性感染症、性器、肛門の外傷などの症状が認められること
もある。
【3】 ネグレクト
① 情緒障害や発達不全が認められる場合がある。
② 虐待者は子どもとの関わりを積極的に持たないため、子どもは「親に捨てられた」など
と感じ、非常に不安定な心理状況におかれ自分の殻の中に閉じこもったりする。
③ 乳幼児期の場合は、環境要因による知的障害、栄養障害による低身長・低体重、脱水症
や衰弱死など生命の危険に至る場合もある。
【4】 心的虐待
① ネグレクトと同様に否定的なメッセージを受けるため自分自身の存在価値を否定する。
② こだわり、わがまま、自分勝手と思われるような、欲求充足のための自分本位な言動を
とったり、他者に極端にベタベタするなどの依存的な態度をとったりすることがある。
③ 欲求充足が困難な場合、パニックのような混乱した状態に陥ることが見られる。
